今回は片持ち梁の集中荷重のたわみについてわかりやすく解説していきたいと思います
一級建築士試験のたわみの問題は係数の暗記になっていますがすぐに忘れてしまいます
導出過程もあわせて覚えると忘れてしまった場合でも試験で点が取れると思います
ぜひ参考にしてみて下さい
片持ち梁・集中荷重のたわみ
片持ち梁・集中荷重のたわみを式で表すと
\(\delta=\dfrac{PL^3}{3EI}\)
δ:たわみ
P:集中荷重
L:梁長
E:ヤング係数
I:断面二次モーメント
片持ち梁・集中荷重のたわみ角
片持ち梁・集中荷重のたわみ角を式で表すと
\(\theta=\dfrac{PL^2}{2EI}\)
θ:たわみ角
P:集中荷重
L:梁長
E:ヤング係数
I:断面二次モーメント
片持ち梁・集中荷重のたわみの求め方
片持ち梁・集中荷重のたわみを求めるには
①M図を求める
片持ち梁の任意の点xにおけるモーメントM(x)の大きさを式で表すと
\(M(x)=P(L-x)\)
②たわみ曲線の方程式に代入する
次にたわみ曲線の方程式\(\frac{d^2y}{dx^2}=-\frac{M}{EI}\)に先ほどのM(x)を代入すると
\(\displaystyle \frac{d^2y}{dx^2}=-\frac{P(L-x)}{EI}\)
になります。
たわみの微分方程式を1回積分するとたわみ角、2回積分するとたわみになります
\(\theta(x)=\dfrac{dy}{dx}=-\int \dfrac{P(L-x)}{EI}dx\)
\(\delta(x)=y=-\iint\dfrac{P(L-x)}{EI}dx dx\)
③たわみ角の積分を解く
$$-\int \dfrac{P(L-x)}{EI}dx=-\dfrac{PLx}{EI}+\dfrac{Px^2}{2EI}+c_{1}$$
このとき積分定数c1を忘れないように
境界条件より\(x=0\)では\(\theta=0\)なので
\(c_{1}=0\)
\(\theta(x)=-\dfrac{PLx}{EI}+\dfrac{Px^2}{2EI}\)
したがって荷重点\(x=L\)では
たわみ角\(\theta=-\dfrac{PL^2}{2EI}\)となり(正負は違いますが)公式の値と一致します
④たわみの積分を解く
\(\delta(x)=\int (-\dfrac{PLx}{EI}+\dfrac{Px^2}{2EI})dx\)
\(\delta(x)=-\dfrac{PLx^2}{2EI}+\dfrac{Px^3}{6EI}+c_{2}\)
このときも積分定数c2を忘れないように
境界条件より\(x=0\)では\(\delta=0\)なので
\(c_{2}=0\)となり
\(\delta(x)=-\dfrac{PLx^2}{2EI}+\dfrac{Px^3}{6EI}\)
したがって荷重点\(x=L\)では
\(\delta(L)=-\dfrac{PL^3}{2EI}+\dfrac{PL^3}{6EI}\)
たわみ\(\delta=-\dfrac{PL^3}{3EI}\)となり(正負は違いますが)公式の値と一致します
たわみ量の許容値
鋼構造設計規準ではたわみ量の許容値があります
片持ち梁: \(\dfrac{δ}{L}=\dfrac{1}{250}\)以下
片持ち梁を設計する際はたわみの許容値以下になるように設計しなければなりません
具体的な計算例
最後に片持ち梁のたわみの計算とたわみが許容値以下に収まるか具体的な計算を見ていきます
[設計条件]
部材:H-200x100x5.5×8 長さ:L=2m 弾性係数:E=205000N/mm2 断面二次モーメント:I=1810cm4
集中荷重:10kN
[計算過程]
たわみの公式より
\(\delta=\dfrac{PL^3}{3EI}\)
設計条件の値を代入し
\(\delta=\dfrac{10\times10^3\times2000^3}{3\times205000\times1810\times10^4}\)
\(=7.19\)mm
\(L/\delta=2000/7.19≒278\)
\(\dfrac{1}{278}<\frac{1}{250}\)
となるのでたわみの許容値範囲内に収まり規準をクリアになることがわかりました
まとめ
今回は片持ち梁・集中荷重のたわみ及びたわみ角の計算方法についてまとめてきました
一級建築士試験でも頻出の問題です
予備校では暗記して覚えるよう教えられると思いますが計算過程を合わせて覚えることで公式を暗記する必要はありません(計算の手間はかかりますが…)
しっかりこの記事を何度も見て勉強してください!!
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