今回はコンクリートの設計で使う設計基準強度Fcについてまとめていきたいと思います
設計基準強度はコンクリートの構造計算を行う上で最も重要な値のひとつと言って過言ではないでしょう
この記事では初学者でも理解できるようにわかりやすく説明していきたいと思います!
設計基準強度とは
設計基準強度(英:design strength)とは建築基準法施行令第74条第一項第二号の規定及び、建設省告示1102号に示される値で、コンクリートの材料強度の基準強度を表します。
噛み砕いていえば許容応力度設計でコンクリート設計する際に使う基準とする強度です。設計では設計基準強度を基に部材サイズあるいは鉄筋のサイズが安全かどうかを判断します。
記号は[Fc]で表し、単位は[N/mm2] で表します。
似たような言葉でF値があります。F値は鋼構造の基準となる強度です。詳しい解説はこちら
実際に私が行ったコンクリートの圧縮試験の結果を例に説明します。
コンクリートは力を受けると部材がひずみます。載荷して初期の状態では応力度とひずみは一定の比例の関係を示します。(図の25N/mm2-750×10-6くらいまでの間)
力が最大に近づくとひずみがの増加量が大きくなり、最大限応力度を過ぎた後は応力度は徐々に減っていき、ある一定ところでコンクリートが破裂して破壊されます。
コンクリートには鋼材とは異なり降伏点はありません。
コンクリートは一様に応力-ひずみのグラフを形成するので構造設計がしやすい材料のひとつです。
設計基準強度の設定
設計基準強度は構造計算初期の段階で決定してから設計を開始することが一般的です。
逆に部材の応力に対して設計基準強度が足りないために設計基準強度を大きくする手法を取ることは私の経験上、稀です。
したがって構造設計者は設計基準強度を超えない範囲で設計をおこない、一方でコンクリートの生コン工場や現場監督は設計基準強度(+補正値等の強度)を上回るコンクリートを打設する必要があります。
普通コンクリート・高強度コンクリートとは
普通コンクリートとは高強度コンクリート以外のコンクリートを指し、一般的には普及率の高いFc18、Fc21を指して総称したりしています。一般的な構造設計では普通コンクリートが多いです。
高強度コンクリートとは高強度のコンクリートを指し、高強度とは設計基準強度を基に定義されています。また規準書ごとに高強度コンクリートの定義の見解も分かれています。
近年はコンクリートの研究も進み、また施工の精度も高くなってきていることから高強度コンクリートの普及率が増えています。そうなることで一層、高耐久・超高層ビルの施工も可能になっていきます。
[高強度コンクリート]
日本建築学会JASS5:Fc36以上
土木学会 :Fc50~100
JIS A 5308 :Fc50,55,60
耐久設計基準強度
耐久設計基準強度とは建物・構造体ごとに求められる計画耐用期間をもとに設定された耐久性を保つために必要となる基準強度です。
建物を長く使うのであれば耐久設計基準強度は大きくなります。理由としては設計基準強度が大きくなればなるほどコンクリートの中性化加速度が遅くなり、コンクリートの中の鉄筋が錆び(酸化し)にくくなるので建物の耐久性が優れるからです。
記号は[Fd]で表し、単位は[N/mm2] で表します。
品質基準強度
品質基準強度とは設計基準強度と耐久設計基準強度を比較し大きいほうの基準強度のことを指します。
記号は[Fq]で表し、単位は[N/mm2] で表します。数式で表すと
[品質基準強度 Fq]
\(Fq=max[Fc,Fd]\)
Fc:設計基準強度
Fd:耐久設計基準強度
まとめ
今回は設計基準強度・Fc値についてまとめてみました
Fc値はコンクリートの構造設計をするうちで最も重要な値の一つです。この値を基準にコンクリートの部材サイズ・鉄筋を決めたりしていきます。
一級建築士試験において設計基準強度について問われることはほとんどありませんが、構造設計を生業とする場合は必ず覚えてください、というより切っても切れないほど多用するキーワードです。
設計基準強度を確認する場合はぜひ本ブログを読み直してみて下さい!!
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