今回は鋼構造・アルミニウム・ステンレス材で使う基準強度・F値についてまとめていきたいと思います
基準強度・F値は構造計算を行う上で最も重要な値のひとつと言って過言ではないでしょう
この記事では初学者でも理解できるようにわかりやすく説明していきたいと思います!
基準強度・F値とは
基準強度(英:design strength)とは国土交通省告示2464号に示される値で、鋼材等及び溶接部の許容応力度並びに鋼材等及び溶接部の材料強度の基準強度を表します。
噛み砕いていえば許容応力度設計や溶接部の設計する際に使う基準とする強度です。設計ではF値を基に部材サイズあるいは材質で安全かどうかを判断します。
記号は[F]で表し、単位は[N/mm2] で表します。
実際に私が行った鋼材の引張試験の結果を例に説明します。(厳密にはひずみと変位は違いますが、ご了承ください。)
鋼材等は力を受けると部材が伸びます。初期はバネのように力を除くと元の形状に戻ります。これを弾性状態と呼びます。
しかしある一定の力でひずみが元に戻らなくなるような降伏点に達します。実験結果では応力度320N/mm2 あたりです。
降伏点を過ぎると塑性状態になります。降伏点に達した後は部材の伸びが大きくなり、強度は緩やか増していき、引張強度(またの名を終局強度)に向かいます。実験結果では応力度440N/mm2 あたりです。
引張強度を超えたあとは強度は減少し、ひずみのみが増えていきやがて破断します。
鋼材は一様に応力-ひずみのグラフを形成するので鋼構造設計がしやすいです。JIS規格品は最低降伏強度、引張強度保証されているので実験で求めたF値は国交省が定めるF値よりも必ず大きくなります。
鋼材のF値
次に一般的によく使われる鋼材のF値を以下の表にまとめました。
鋼材の基準強度・F値の定義では降伏強度または終局強度の70%のより小さい値から求められています。数式で表すと
\(F=min[Fy,0.7Fu]\)
Fy:降伏強度
Fu:終局強度
JISの鋼材に関してはF値は降伏応力度で決まっています。また特徴として引張強度が大きくなれば同時に基準強度も大きくなります。
共通認識として○○400ならば400が引張強度が400N/mm2 490が引張強度が490N/mm2 を表しています。
400ならばF=235N/mm2
490ならばF=325N/mm2 と覚え、
ただし板厚が40mm以上になると基準強度が小さくなると感覚を持つとよいでしょう。
アルミニウム合金のF値
一般によく使われるアルミニウム合金材のF値を以下の表にまとめました。
呼称のAS○○の○○の部分がF値を表します。AS110ならばF値が110N/mm2を表しています。
アルミニウム合金が鋼材と異なるのが明確な降伏点が現れません。したがってアルミニウム合金の0.2%耐力を降伏点とみなして計算します。
アルミニウム合金のF値の計算方法は、アルミニウム合金の0.2%耐力または引張強度の0.8倍でより小さいほうの値を指します。数式で表すと。
\(F=min[Fy,0.8Fu]\)
Fy:0.2%耐力
Fu:引張強度
ステンレスのF値
一般によく使われるステンレス鋼材のF値を以下の表にまとめました。
他の材質とは違い名称からF値を推測はできませんが数値としては鋼材の場合と似ています。
板厚によってもF値が変わることはありません。また数式からF値を導出することもできないので国土交通省告示第2464号より値を確認するしかありません。
まとめ
今回は基準強度・F値についてまとめてみました
F値は構造設計をするうちで最も重要な値の一つです。この値を基準に部材サイズ・材質を決めたりしていきます。
一級建築士試験において基準強度について問われることはほとんどありませんが、構造設計を生業とする場合は必ず覚えてください、というより切っても切れないほど多用するキーワードです。
F値を確認する場合はぜひ本ブログを読み直してみて下さい!!
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