こんにちはTOMです。
今回は10月9日(日)に行われる、2022年(令和4年)一級建築士の製図試験当日についてまとめていきたいと思います。
2023年版はこちらの記事です。
製図は他に類を見ないほど特殊で、数ある国家試験の中でもかなり難しい試験と言われています。
筆者の私は2020年に初めて受験し何と一発で合格することができました。
今年初めて製図試験を受験する方にとって、また再受験される方であっても、この製図試験をどのような心構えで受験したかについてを体験談として共有できたらいいなと思います。
製図試験について
まず最初は試験の概要についてざっくりと説明します
日時
今年2022年(令和4年)の製図試験は10/9(日)に行われる予定です。
コロナ禍で行われる3回目の試験になります。自然災害など大きな出来事がない限り通常通り実施されます。
詳しくは公式HPをご覧ください。
試験時間は6時間半
開始時刻は午前11時~午後5時半までのぶっ通し、10:45から試験元より試験要領説明があります。
時間に余裕を持ち1時間前くらいには到着をしましょう。
場所
試験場所は受験票に記載されている大学・専門学校になります。
詳しい住所は同じく公式HPを参照してください
持ち物リスト
公式から必ず携帯するものよう伝えられているモノは
- 受験票
- 黒鉛筆
- 消しゴム
その他製図に必要なモノを下記に示すので忘れないようにしてください
- 製図版
- ドラフティングテープ(マスキングテープ)
- 蛍光ペン(赤・黄・紫・青・緑)
- 色ペン(赤・青)
- 三角スケール
- 三角定規
- 勾配定規
- テンプレート
- 字消し版
- 電卓(関数機能付きも可)
- 刷毛
- 時計または腕時計
- 滑り止めマット
- 簡易まくら(机の傾斜)
- 飲み物や軽食(試験中の飲食は可です)
- 現金(タクシーなど積極的に利用)
- 携帯・スマホ(持ち物忘れたときに誰かに連絡するため)
- 身分証明書(受験票を失くしたときに必要)
最近では関数機能のある電卓も可能みたいです。念のため普通の電卓も持参を!!
受験票を紛失した場合
- 前日より前に受験票を紛失した場合
マイページから再度ダウンロードし、必ず印刷したうえで当日試験会場に持参してください。
スマートフォンの画面上の受験票では試験が受けられませんので、ご注意ください。
- 当日に受験票を紛失した場合
試験当日試験会場についてから気付いた場合でも開始前に、直接、試験場の係員に顔写真の添付してある身分証明書(運転免許証等)を示し、その旨を申し出て、受験票の再発行手続きを行ってください。
課題
試験課題は試験元より発表されている『事務所ビル』です。
要件図書は
- 1階平面・配置図 (1/200)
- 各階平面(何階層あるか不明)(1/200)
- 断面図(1/200)
- 面積表
- 計画の要点等
- 建築基準法に適合する建築物(建ぺい率・容積率・高さ制限・延焼ライン・防火区画・避難経路)
- 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に規定する「建築物移動等円滑化基準」を満たす計画
留意事項は
- 敷地の周辺環境に配慮した計画
- バリアフリー・省エネ・二酸化炭素排出量削減・セキュリティ等に配慮した計画
- 各要求室を適切なゾーニング・明快な動線計画
- 建物全体が構造耐力上安全で経済性に配慮した計画
- 構造種別に応じた架構形式とスパン割、断面寸法を適切に計画
- 空気調和設備・給水衛生設備・電気設備・昇降機設備等を適切に計画
留意事項は必ず出題されるので事前にしっかりと見直しましょう!!
赤字は去年2021年と比較して変更されているもの、要チェックです!!
試験一週間前の過ごし方
試験一週間前は会社員の方は仕事を一週間前まるまる休める人もいれば、フルタイムで休みなんて全くない人もいるのではないでしょうか!?
私自身としては月から金まで会社に行きましたが毎日早退させてもらい勉強時間を確保しました。
もちろん試験元は個人の勉強時間の格差に一切の配慮なんてありませんから、自分の置かれている環境がいかに悪くとも製図試験までの時間は平等です。
できることなら休みを取り、万全の状態で臨みましょう、休みが取れないのであれば、他の人よりハンディキャップを負うことを認識したうえで不屈の闘志で挑みましょう!!
資格スクールの特別講義は月・火・水の18時から試験直前の追加講座がありました。私自身も追加講義を受けました。
3時間程度のエスキスのみの練習課題でしたが非常に解きごたえのある問題で、本番前のウォーミングアップとして非常に有益な講義となり個人的には満足しました。
試験本番よりも少し難しめに作成されているのでうまくエスキスができなくても焦らなくて大丈夫です!
試験前日の土曜にも直前講座があります。
内容は一回分のエスキスをやりましたが、メインは試験本番について最終確認を行い、受験生あるあるの最後の決起集会になります。
技術面というよりはメンタル面のケアになるためあまり実りのあるものではないように思いますが、気合を入れ直すきっかけになると思います。
講師の人に質問を聞ける最後のチャンスです有効に活用できる人は利用しましょう!!
試験前日について
試験前日の勉強では講師は「作図なしでエスキスだけでいいよ」と言ってきます。
前日になってしまえば、もうこれ以上作図をしても上達しないことを暗示してくれます。作図スピード上げる時期はもうとっくの昔に終わっているということです。
少ない時間の中で今まで自分のミスしてきたところ・何度も間違えてしまうところを重点的に見直すようにしましょう!!
勉強も早々に切り上げ、できる限り休むことを優先して、当日で最高のパフォーマンスを出せるようにしましょう!!
試験当日について
試験本番当日は先ほど述べたように午前11時から始まります。学科試験よりは少しゆったりめなのでしっかり準備して余裕を持って会場に向かいましょう。
昼食も軽めに取るといいでしょう(終わりが17時半になるので…)
試験会場までは公共交通機関を使われる人もいますが、製図版が大きく、荷物も多いのでタクシーでいくことも大いに賛成です。
会場は10時過ぎくらいから開くので学科試験の時同様、長蛇の列で待たされると思います。会場前で検温・消毒等もあるので開場後すぐには教室に入れないかもしれません。あまり早く着きすぎてもメリットはありません。
コロナ以降、教室内は受験生同士の距離を保つため結構なゆとりを保てる机を用意されています。
私が受験した当時の教室は自分一人で机を占領できたので、隣の人の消しゴムで消すときの揺れとかはなかったので快適でした。
それぞれの大学の机によっては滑りやすかったり、傾斜のあるものや固定机の場合もあると噂されているので、滑り止めや簡易まくらなどを準備して柔軟な対応をしましょう。
試験中について
サプライズ問題について
試験中は自分の立てた製図スケジュールを持って臨み、その時間通りに解きましょう。
やはり今までの試験の傾向と異なる問題が毎年必ずと言っていいほど出されます。
それを『サプライズ』と呼びます。
去年では「在宅勤務を考慮したスペース」
一昨年では「感染症に配慮した計画」・「構造計算ルート」
などがあり、その年の世相を反映させたものが多い印象です。
サプライズは受験生を悩ませる種ですが、どの受験生も条件は同じで解ける人はわずかです。
ならば”いかに時間を費やさずに割り切って進めるか”どうかであると個人的には思います。
『木を見て森を見ず』の状態にならないよう「本質は一体何を問われているのか」しっかりと課題文を確認しましょう!!
また多くの時間を使うエスキスでは対策として2パターン用意しましょう
- エスキスがうまくいって予定時間より早く終わった場合
- エスキスがうまくいかず予定時間を超えて焦ってしまう場合
エスキスがうまくいって予定時間より早く終わった場合
エスキスがうまくハマりいつもの予定時間より早く終わった場合(私がそうでした)
なぜか一回目プランですべてうまいった場合はとにかく余った時間を存分に中間チェックに使いましょう。
2回でも3回でも製図を始めて決して後戻りしないレベルまで仕上げましょう。
その中でも法規チェックは確実に行いましょう。これさえできればかなり合格が近くなります。
エスキスがうまくいかず予定時間を超えて焦ってしまう場合
この時の気持ちは気が気ではないはずです。
しかし焦りすぎてしまうともっと沼にはまってしまいます。「こちらを立てればあちらが立たず」のように両立することが不可能になることも結構あります。
その場合は完璧を目指さないことです。
しかしそこで地団駄踏んでいたら製図開始がどんどん遅くなり終わりません。
『自分はこれを守る』というもの一つ遵守するものを決め、あとは徹底的に捨てるようにしましょう。
自分ができていないなら他の人もできていないはずと割り切り、他のところで差をつけるように意識しましょう。
個人的な優先順は
- 重大な不適合(法規ミス・要求室の欠落・設置階のミス)
- 課題で問われていること(周辺敷地との関わり・どういう建物であるか)
- ゾーニング・空間構成
- 動線
- 構造・設備
- 計画の要点
もちろんどれも大事ですが、あらかじめ優先順位を決め柔軟な対応が勝負の分かれ目かもしれません!
プチ休憩を取る
エスキスが終わったら中間チェック→計画の要点→製図へ進んでいくと思います。
それぞれの間隔ではプチ休憩を取ることをお勧めします。
試験も中盤に向かい折り返している頃になり、張りつめた空気から少しずつ解放された感じが出ているころかと思います。
- 周りを見渡してほかの受験生はどんな感じかと探ってみたり
- トイレに行って少しリフレッシュしたり
- お菓子・飲み物を飲んでリラックスしたり
プチ休憩は終盤に向けギアチェンジでき、自然と身が引き締まると思うので、ぜひ取り入れてみてください!!
試験終盤
製図も進み午後5時(残り30分)になったら、もうすべてを投げ出しチェックを始めてください。
本番は練習よりも作図量が増えることが予想されるため、描き終わっていない人も当然いるかもしれませんが、
『チェックなくして合格なし』
という格言があるようにチェックしなければ合格はありません。チェックはそれだけ価値があるものです。
描き終えていない人はチェックで漏れている箇所と同時に仕上げるようにしましょう。
この時も優先事項としては
- 絶対に書かなくてはならない項目(面積表・防火設備・室名・避難経路等)
- 配点に大きく絡むもの(家具・サッシ・DS,PS,EPS)
- 減点は避けられないがまだ許されるもの(植栽・目地)
- 減点にならないもの(字の美しさ・線の濃淡)
これらの優先順位に従いどんなに汚くとも速攻で30分以内に書き上げてください。
計画の要点も分からなければなんでもいいので、適用な文字を書いてさえいれば減点にはなってしまいますが、不合格にはなりません。
もし空欄があれば答案なしの不合格になってしまいますので気を付けてください。
試験後について
試験は午後5時半に終わります。
「長丁場本当にお疲れ様でした。」といいたいところですが… 資格スクールに通う皆さん残念ながらもうひと頑張りです。
地獄の復旧図が待っています(計画の要点も…)
各資格スクールに戻り、忘れないうちに試験で描いた図面をもう一度描き直します。
本当に疲れます「泣きっ面蜂」の状態です。(できることなら描きたくないですが)
この復旧図を基に講師たち資格スクールは合否判定、来年に向けての試験対策、落としたらダメな項目、落としても許容できる項目を決めてくれます。
自分のためにも、将来の受験生のためにも描きましょう。
「次の日でもいいだろ」と思いますが一度描いた図面は意外と当日のうちでも思いだせないので、日が過ぎていくごとに記憶があいまいになっていきます。その日のうちに描いて一日を終えましょう。
復旧図を描いているうちに間違えを見つけ出すと、どんどん不安になっていきます。しかしもう終わったことなので直すことはできません。
過去の自分を悔やみましょう。
ただし何度も言いますが一級建築士試験は相対試験であるため。
上位40%程度に入ることができれば合格です。多少のミスは許されます。希望を持って待ちましょう!!!
試験前に記事を読んでくださる皆さんはこうならないように
間違えやミスは最終チェック、中間チェックで見つけることが如何に大切であるか知っておいて下さい。
資格スクールの採点
試験一週間後に資格スクールの講師の人の採点を教えてもらうことができます。
- Ⅰ
- Ⅱ-A
- Ⅱ-B
- Ⅲ
- Ⅳ
のように講師の独断と偏見であなたの評価ランクが決められます。
当時の私の評価はⅡ-Bでした。実際には合格でしたので万々歳で結果的には良かったです。
逆に資格スクールでⅠの評価を受ける人はほとんどいないと言われています。理由は下手にランクⅠをつけて本当の結果が不合格の場合に責任が取れないようなので
上げてから下げるのではなく下げてから上げるみたいですね。
あまり真に受けずに合格発表を待ちましょう!!!
合格発表
今年(2022)の合格発表は12/26(月)でクリスマスのあとですね。
皆さんのもとにも遅れてサンタクロースが来ることを祈っています。
昔は合格時にはHPに名前がフルネームで載りましたが。2021年以降はプライバシーの観点からか受験番号のみとなりました。
楽しみですね!!
まとめ
今回の記事では一級建築士製図試験の一週間前から試験後までの流れについてまとめてきました。
製図は非常に骨の折れる試験で学科試験からここまでノンストップで来た人はとてもすごいと思います。
合格でも不合格でも本当にお疲れさまといいたいです。
この記事が受験生の一助となれば幸いです。
コメントやフォローいただけるとモチベーションになりますので、気軽にコメントください。
以上TOMでした。
コメント