ご無沙汰しております。久々の投稿になり申し訳ございません。
これから投稿を増やしていく予定です、よろしくお願いいたします。
今回はRC柱の許容曲げモーメント・許容せん断力をブラウザで計算できる「RC柱の断面算定ツール」を作ったので紹介したいと思います。
断面と配筋、応力を入力するだけで検定比・M-N相関図・途中計算まで確認できます。手計算の確認や勉強にも使えるようにしているので、ぜひ使ってみて下さい!!
期間限定公開とします、今後有料になるかもしれません。ご了承ください。
不具合・改善案がありましたら、コメント欄よりご連絡ください。
皆様の意見を反映し随時アップデート予定です。よろしくお願いいたします。
RC柱の断面算定ツール
下のツールで計算できます。条件を入力して「計算する」を押してください。(初回は計算エンジンの読み込みに数秒かかります)
別のタブで開きたい場合はこちらから開けます。
このツールでできること
このツールは日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」(RC規準)の許容応力度設計の式で、RC柱の断面算定を行います。
- 長方形断面・円形断面の柱に対応
- X方向・Y方向をまとめて検討
- 長期・短期の許容曲げモーメント Ma と許容せん断力 Qa、検定比の算定
- M-N相関図の表示(設計応力の点が曲線の内側なら検定比 ≦ 1.0)
- 途中計算の表示(式・代入値・結果を1行ずつ)
- 構造規定のチェック(主筋比 pg ≧ 0.8%、主筋 D13 以上を4本以上、帯筋比 pw ≧ 0.2%、帯筋間隔 ≦ 100mm)
- A4での印刷(断面カードを並べた簡易印刷と、M-N図・途中計算まで入れた詳細印刷)
計算はお使いのブラウザの中で行うので、入力した内容がサーバーに送られることはありません。
使い方
使い方は3ステップです。
- 条件を入力する:断面(B・D)、断面形状、主筋(径・本数)、帯筋(径・本数@間隔)、材料(Fc・かぶり厚・鉄筋の種類)、荷重を入力します。
- 「計算する」を押す:画面の下にある「計算する」ボタンを押します。ボタンの横に OK/要確認/NG の判定が出ます。
- 結果と途中計算を確認する:計算結果に応力・耐力・検定比が出ます。その下で M-N 相関図と途中計算を確認できます。
入力のポイントは次のとおりです。
- 主筋の本数は片側1列の本数を入力します(例:4本なら全主筋は 2×4 + 2×(4−2) = 12本)。
- 帯筋は「本数 @ 間隔」で入力します。本数は2本以上です。
- 荷重は長期・短期のどちらかを選びます。短期の NE・ME は長期を含んだ合計値を入力します。
- 短期のせん断力 QS は「QL + n·QE」で自動計算するか、直接入力するかを選べます。
許容曲げモーメントの考え方
RC柱の許容曲げモーメント Ma は、軸力 N が作用した状態で次のどちらかに達するときの曲げモーメントです。
- 圧縮縁のコンクリートの応力度が許容圧縮応力度 fc に達する
- 引張鉄筋の応力度が許容引張応力度 ft に達する
計算の前提は、平面保持・コンクリートの引張は無視・コンクリートの圧縮応力度は三角形分布・対称配筋です。鉄筋はヤング係数比 n で換算します。
軸力の大きさによって中立軸の位置が変わるので、次の4つの場合に分けて計算します。
| 軸力の範囲 | 状態 | 決まり方 |
|---|---|---|
| N > N1 | 全断面圧縮 | 圧縮縁のコンクリート(中立軸は断面の外) |
| N2 < N ≦ N1 | 圧縮側が支配 | 圧縮縁のコンクリートが fc |
| N3 < N ≦ N2 | 引張側が支配 | 引張鉄筋が ft |
| Nt ≦ N ≦ N3 | 全断面引張 | 鉄筋のみで抵抗 |
N2 はコンクリートと引張鉄筋が同時に許容値に達する「釣合い時」の軸力です。軸力が限界圧縮力 Nc 以上、または限界引張力 Nt 未満では Ma = 0 になります。
軸力を Nt から Nc まで変えて Ma をつなげたものが M-N 相関図です。ツールではこの曲線と設計応力の点を同じ図に表示しています。
許容せん断力の考え方
長期の許容せん断力は次の式で求めます。
[長期許容せん断力]
\(Q_{AL}=b\cdot j\cdot \alpha\cdot f_{s}\)
\(\alpha=\dfrac{4}{M/(Q\cdot d)+1}\) (1 ≦ α ≦ 1.5)
短期は大地震動に対する安全性確保の式(せん断補強筋の効果を見込む式)で求めます。
[短期許容せん断力]
\(Q_{AS}=b\cdot j\cdot \{f_{s}+0.5\cdot {}_{w}f_{t}\cdot (p_{w}-0.002)\}\)
b:柱幅(mm)
j:応力中心間距離 = 7/8・d(mm)
fs:コンクリートの許容せん断応力度(N/mm2)
wft:帯筋の許容引張応力度(N/mm2)
pw:帯筋比(上限 1.2%)
帯筋比 pw が 1.2% を超える場合でも、せん断耐力の式では pw = 1.2% として計算します。ツールではこの場合に備考を表示します。
計算例
具体的な計算例を見ていきます。次の柱を長期で検討します。
| 断面 | B × D = 600 × 600 mm(長方形) |
| 主筋 | D22 片側4本(全12本)、SD345 |
| 帯筋 | 2-D10 @100、SD295 |
| コンクリート | Fc = 21 N/mm2、かぶり厚 40 mm |
| 長期応力 | NL = 1350 kN、ML = 120 kN·m、QL = 60 kN |
まず断面諸元と許容応力度は
dt = 40 + 11 + 25/2 = 63.5 mm(かぶり厚 + 帯筋外径 + 主筋外径/2)
fc = Fc/3 = 7.0 N/mm2、ft = 215 N/mm2、n = 15
pt = 4 × 387 / (600 × 600) = 0.0043
つぎに軸力の場合分けの境界を求めると N1 = 1423 kN、N2 = 140.8 kN となるので、NL = 1350 kN は N2 < N ≦ N1 の「圧縮縁のコンクリートで決まる」場合です。中立軸比 xn1 = 0.949 となり
許容曲げモーメント MaL = 163.66 kN·m
検定比 ML / MaL = 120 / 163.66 = 0.73 < 1.0
せん断は d = 600 − 63.5 = 536.5 mm、j = 7/8 × 536.5 = 469.4 mm、fs = 0.70 N/mm2 です。M/Qd = 3.73 より α = 4/(3.73+1) = 0.85 → 下限の 1.0 となるので
許容せん断力 QaL = 600 × 469.4 × 1.0 × 0.70 = 197.16 kN
検定比 QL / QaL = 60 / 197.16 = 0.30 < 1.0
以上より、この柱は長期の検討では問題ないことを確認できました。ツールに同じ値を入れると、M-N図と途中計算もあわせて確認できます。
まる範囲で Ma が大きくずれることがありました。気になる方は途中計算の式を見比べてみて下さい。
注意事項
そのうえで、次の点は本ツールで補正しています。
- 円形柱の限界圧縮力を π·r²·(1 + n·pg)·min(fc, ft/n) としました。
- 軸力が限界圧縮力 Nc 以上のときは Ma = 0 としました。
- 長期の α の上限を柱の 1.5 としました。
- 短期の許容せん断力は大地震動に対する安全性確保の式(α を用いない)としました。
- 計算結果の正確性は保証しません。設計に用いる場合は、設計者の責任で内容を確認してください。
- 計算にはインターネット接続が必要です(計算エンジンを読み込むため)。
- 不具合や「こういう機能がほしい」などがあればコメントで教えてください。
まとめ
今回はRC柱の断面算定ツールを紹介しました。
RC柱の許容曲げモーメントは軸力によって決まり方が変わるので、手計算だと場合分けで迷いやすいところです。このツールでは途中計算とM-N相関図を見ながら確認できるので、構造設計の実務だけでなく勉強にも使ってみて下さい!!
許容応力度設計の基本については、こちらの記事も参考にしてみて下さい。


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