今回は地表面粗度区分についてわかりやすく解説していきたいと思います。
地表面粗度区分は建築の構造設計を行う上で必要となる風荷重を求める際に使う値です。地表面租度区分は風荷重を扱う上で重要なキーワードなので、ぜひこの記事を参考にしてみて下さい!!
地表面粗度区分ってなんだ??
地表面粗度区分とは
地表面粗度区分 (別称 粗度区分)とは地表面の粗さを数値で表したものを指します。
風荷重は地表面を流れるように吹いていきます。その風荷重も「平坦な場所で吹く風」と「デコボコした場所で吹く風」、どちらが流れる速さがより早くなるかというとそれは「障害物のない平坦な場所」になると思います。
おもに地表面の凹凸具合・粗さの程度を粗度区分という数値で評価しているということです。
地表面粗度区分の判別
地表面粗度区分は主に4つの区分に分類されます。分類はローマ数字を使い表し
- 粗度区分Ⅰ
- 粗度区分Ⅱ
- 粗度区分Ⅲ
- 粗度区分Ⅳ
のように分けられます。平成12年建設省告示第1454号に地表面粗度区分の定義の記載があります。以下一つずつ解説していきます。
都市計画区域内・区域外という言葉が出てきますが、一つひとつを都市計画区域であるか判断する方法は現状、各市町村の建設課等に確認するしか方法はありません。厳密な地表面粗度区分を判別するためには各自で市町村に問い合わせて下さい。
粗度区分Ⅰ
粗度区分Ⅰは海面や湖のようなほとんど全く障害物のない平坦な地域を指します。
都市計画区域外にあって、極めて平坦で障害物のないものとして特定行政庁が規則で定める区域
平成12年建設省告示第1454号
粗度区分Ⅱ
粗度区分Ⅱは高さ数mから10m程度の障害物が散在している地域で、低層建築物が中心の田園地帯のような場所を指します。
都市計画区域外にあって地表面粗度区分Iの区域以外の区域(建築物の高さが13m以下の場合を除く。)又は都市計画区域内にあって地表面粗度区分IVの区域以外の区域のうち、海岸線又は湖岸線(対岸までの距離が1,500m以上のものに限る。以下同じ。)までの距離が500m以内の地域。(ただし、建築物の高さが13m以下である場合又は当該海岸線若しくは湖岸線からの距離が200mを超え、かつ、建築物の高さが31m以下である場合を除く。)
平成12年建設省告示第1454号
粗度区分Ⅲ
粗度区分Ⅲは高さ数mから10m程度の障害物が多数存在している地域あるいは中層建築物4~9階が散在している地域で、都市周辺地域や工業地帯・森林地帯のような場所を指します。
地表面粗度区分I, II又はIV以外の区域
平成12年建設省告示第1454号
粗度区分Ⅳ
粗度区分Ⅳは中層建築物4~9階が密集している市街地で、建築面積率が30%程度で中高層化率が5~20%程度の場所を指します。
都市計画区域内にあって、都市化が極めて著しいものとして特性行政庁が規則で定める区域
平成12年建設省告示第1454号
平均風速の高さの分布を表す係数
平均風速の高さの分布を表す係数は粗度区分から算定される値で建物の高さと地表面粗度区分によって変わる係数です。建物高さHが大きくなればなるほど値は大きくなり、地表面粗度区分が地表面が粗くなるほど小さくなる傾向にあります。
平均風速の高さの分布を表す係数の記号は[Er]で表記され、単位は無次元です。
平均風速の高さの分布を表す係数の基本値は以下の式で求めらます。
[平均風速の高さ方向の分布を表す係数Er]
H≦Zbの場合
\(Er=1.7\left(\dfrac{Zb}{Z_{G}}\right)^\alpha\)
H>Zbの場合
\(Er=1.7\left(\dfrac{H}{Z_{G}}\right)^\alpha\)
H:建築物の高さと軒の高さの平均(m)
Zb,ZG及びα:粗度区分に応じて定められる数値
計算例として地表面粗度区分をⅡ、建築物高さH=20mとした場合
\(H=20>Zb=5\)なので適用する式は
\(Er=1.7\left(\dfrac{H}{Z_{G}}\right)^\alpha\)
\(Er=1.7\left(\dfrac{20}{350}\right)^{0.15}\)
\(Er=1.11\)
ガスト影響係数とは
ガスト影響係数(英:Gust effect factor)は同じく粗度区分から算定される値で風の乱れや風の変動の影響を考慮した割り増し係数になります。
ガスト影響係数の値は1.8~3.1の間で推移するので平均風速の2,3倍程度は大きく安全性が保たれるように規定されていることがわかります。また建築物高さHが低いものの方が係数が大きくなるので低層建築物の方が風の乱れの影響が大きいこともわかります。
ガスト影響係数の記号は[Gf]で表記され、単位は無次元です。ガスト影響係数の値は下記の表から読み取ります。
建築物高さHが(二)に該当する(10m以上、40m以下)場合は直線補間を行う必要があるのでその際は以下の式を使って下さい
求めたい値をy,建築物高さx=Hとすると
\(y=y_{0}+(y_{1}-y_{0})\dfrac{x-x_{0}}{x_{1}-x_{0}}\)
例えば粗度区分ⅡでH=20mとしたら
\(y=2.2+(2.0-2.2)\dfrac{20-10}{40-10}\)
\(y=2.13\)
引用元:建築物荷重指針・同解説
まとめ
今回は地表面粗度区分についてまとめてきました。地表面粗度区分は風荷重を算定するのに必要な知識です。
地表面の粗さによって区分されるもので、平均風速の高さの分布を表す係数とガスト影響係数を算定する際に地表面粗度区分の分類が必要となります。
もし地表面粗度区分が分からなくなった場合はこちらの記事を参考にしてみてください!!
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