今回は2021年度二級建築士 学科試験Ⅲ建築構造のNo.3の問題についてまとめていきたいと思います
今回は構造力学の曲げモーメント・せん断力の問題から出題されています
力学の基本的な問題なのでこの記事では初学者でも理解できるようにわかりやすく説明していきたいと思います!
問題 No.3
[No.3]
図のような荷重を受ける単純梁において、A点の曲げモーメントMAの大きさと、A-B間のせん断力QABの絶対値との組合せとして、正しいものは、次のうちどれか。
[選択肢]
MAの大きさ QABの絶対値
1. 40kN・m 10kN
2. 60kN・m 15kN
3. 60kN・m 30kN
4. 120kN・m 15kN
5. 120kN・m 30kN
この問題を解くためのキーワードは
- 単純梁ー集中荷重の曲げモーメントとせん断力
- 三角比による成分分解
だと思います。力学の基本的な知識が問われています。
前提条件
この問題を解くためには曲げモーメントのM図とせん断力のQ図の描き方そして三角比について覚えておく必要があります。
M図とは
M図とは、部材に生じる曲げモーメントの値を図示したものです。上図では荷重点で最も大きい曲げモーメントが発生しているのがわかります。
このように図にすることで、体系的に曲げモーメントの大小を把握できます。
曲げモーメント図の描き方は
- 支点反力を求める
- 支点からx進んだ点でのM(x)の式をたてる
- M(x)のグラフを描く
曲げモーメント図の描くルールとして
- 引張側にモーメントを描く(日本での暗黙のルール、海外などでは圧縮側に描くこともある)
- ピン支点ではモーメントは0
があります
Q図とは
Q図とは、部材に生じるせん断力の値を図示したものです。上図では梁に一様にせん断力が発生し荷重点でせん断力が反転していることがわかります。
このように図にすることで、体系的にせん断力の大小を把握できます。
せん断力図の描き方は
- 支点反力を求める
- 支点からx進んだ点でのQ(x)の式をたてる
- Q(x)のグラフを描く
せん断力図の描くルールとして
- 生じる時計回りのときに梁上にせん断力を描き、反時計回りのときに梁下にせん断力を描く
があります
三角比とは
三角比とは「三角形の辺の比」のことです。三角比についてはここで深く解説するまでもないでしょうが二級建築士の問題で出題される範囲では最低でも上記の3つは覚えておいて下さい
解き方
解く方法順序は
- 荷重を鉛直成分・水平成分に分解する
- 支点反力を求める
- 曲げモーメントM図・せん断力図を作成する
ひとつずつ算出していきましょう
まずは与えられた荷重を鉛直成分・水平成分に分解します。角度30°をつけて60kNの荷重ですので三角比を使うと
水平成分:\(60\cos30^\circ=30\sqrt{3}\)
鉛直成分:\(60\sin30^\circ=30\)
つぎに支点反力を計算していきます。上図のようにモデルを2つに分けて考えもいいでしょう
鉛直反力は鉛直方向の力のつり合い式より
\(V=30/2=15\)
水平反力は水平方向の力のつり合い式より、右の支点がローラー支点のため左側支点でつり合い
\(H=30\sqrt{2}\)
となります。
最後に支点より\(x\)進んだ距離でモーメントM(x)の式を立てると
\(M(x)=15x\)
最大曲げモーメントとなる\(x=4\)を代入し、最大曲げモーメントの値は
\(M(4)=15\cdot 4=60\)
支点より\(x\)進んだ距離でモーメントQ(x)の式を立てると
\(Q(x)=15\)
したがってまとめると『MA=60kNm QAB=15kN』となり、最終的な答えは②でした
まとめ
今回は2021年 二級建築士 学科試験Ⅲ建築構造 No.3の解説をしてきました。
今回の問題は単純梁集中荷重の問題でM図Q図を求める問題でした力学の中では基本中の基本であるので、もし忘れてしまった方は是非とも解けるようにしてください!!
こちらも自分で問題を作って解いてみるとよいでしょう!!
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