この記事は長期と短期についてわかりやすく解説していきたいと思います。
長期と短期は構造設計するうえでも初めに覚えておくべき知識です。ぜひこの記事を参考にしてみて下さい!!
長期と短期ってなんだ??
長期と短期とは
日本において構造計算では長期と短期という考え方があります。
長期とは通常時・平時の状態であり、私たちが普段暮らしている・作業している状態での計算のことを指します。
短期とは短期的に生じる事象を指し、突然起こる地震、台風、積雪、洪水、事故、メンテナンスなどこれらの状態を考慮した計算のことを指します。
長期と短期で扱うものとしては以下のものがあります。
- 荷重(長期荷重・短期荷重)
- 許容応力度(長期許容応力度・短期許容応力度)
長期荷重・短期荷重とは
長期荷重とは常に生じている荷重を指し、長期荷重は基本的に固定荷重と積載荷重が作用している状態です。ほとんどの荷重が鉛直下向きになると思います。(長期で水平方向に荷重がかかることもあります。)
短期荷重とは短期的に生じる事象を荷重を短期荷重をといいます。短期荷重として扱うものとしてはおもに積雪荷重・風荷重・地震荷重があります。長期的でなく一時的やある一定の期間起こりうる荷重を指します。
この他にも水圧や浮力・土圧・熱荷重・衝撃荷重なども状況に応じて長期で作用しているものか、短期で作用しているものを設計者が判断し見込む必要があります。
長期許容応力度・短期許容応力度とは
許容応力度の長期・短期とは許容応力度計算を行う際に長期用の検討と短期用の検討を行うと思います。
長期許容応力度は長期荷重が作用した場合の部材にかかる応力度と比較対象となるものです。
短期許容応力度は長期荷重+短期荷重が作用した場合の部材にかかる応力度と比較対象となるものです。
許容応力度の記号は一般的に[\(f\)]で表します。
例えば鋼材の長期許容応力度を表す時は \(_{L}f\) 、短期許容応力度を表す時は \(_{S}f\) をつけることで区別してわかりやすくすることもあります。
荷重組み合わせとは
荷重組み合わせとは保有水平耐力計算・許容応力度計算では第82条第二項、限界耐力計算では第82条の5第二項の規定により定められた、構造耐力上主要な部分に作用する応力度の計算に用いる荷重の組み合わせを示したものです。建築基準法上で取扱う荷重は先ほど紹介した5つ
以上5つの中から想定される荷重の組み合わせを実際の建物の計画に合わせて考慮する必要があります。
また特定行政庁が指定する多雪区域では積雪荷重を長期として見込む必要があります。なので多雪区域の短期では長期+積雪荷重+風荷重あるいは長期+積雪荷重+地震荷重といったように一般地域より厳しくなります。以上をまとめると建築基準法ではこうなります。
保有水平耐力計算・許容応力度計算の組み合わせ
多雪区域というのは積雪量が1.0m以上の区域で特定行政庁によって指定された場所を指します。
多雪区域は一般地域に比べ長期で短期の積雪荷重の0.7倍を見込む必要があります。長期で積雪荷重を見込むのでロングスパン建築では”たわみ”に気をつけてください。
短期では積雪荷重を0.35倍見込んだ状態でさらに暴風時や地震荷重を見込むので同じく一般地域に比べ厳しくなるので気をつけてください。
限界耐力計算の組み合わせ
限界耐力計算では地震時の検討はないものの一般地域でも1.4倍の積雪荷重を見込み、暴風時では1.6倍もの風圧力を見込むので許容応力度・保有水平耐力計算よりもかなり大きい応力度になります。
まとめ
今回は長期と短期についてまとめてみました。
長期と短期は構造設計をするうちで初めに覚えるべきことです。設計では長期○○、短期○○などが頻繁に飛び交います。その時にすっと思い出せるように覚えておいて損はないです。
一級建築士試験において長期と短期について問われることはほとんどありませんが、構造設計を生業とする場合は必ず覚えてください。
長期と短期を確認する場合はぜひ本ブログを読み直してみて下さい!!
参考図書
下記の図書は鋼構造設計の基本的な設計方法を示したものですので、鋼構造設計の基本を学びたいひとは購入を考えてみてください!
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