こんにちはTOMです!!
製図試験を受験する方はどうでしょうか? もう間もなくで製図試験本番まで一か月を切ります。
焦ってきているころではないでしょうか?
今回の記事では製図試験において必ず描かなくてはならない階段について言及していきたいと思います。
製図試験の階段は決まったカタチさえ覚えてしまえば本番で困ることはないですが、
なぜそのカタチを採用しているのか考えたことはあるでしょうか?意外と知らない人の方が多いのかもしれません。
そのカタチで行けるのか、どうなったら法規的にアウトになるのかいついてわかりやすく説明していきたいと思います。
建築について詳しくない人も自宅の階段がしっかりと建築基準法通りに作られているのか 気になりませんか!?
最近では階段の施工不良による事故もありました、あなたの知らない建築-階段の世界について考えてみませんか?
それではよろしくお願いいたします。
製図試験の階段の描き方を知りたい!!
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製図試験に必須道具については
階段の寸法
まず最初は階段の基本寸法についてです。
階段寸法は建築基準法施行令より(令第23条、第24条、第27条)が該当します。
そこには以下のような表で記載されています
製図試験で使うのは赤で囲った③の直上階の居室床面積の合計が200㎡を超える地上階のものに9割以上が該当しますので
- 階段幅は120㎝以上
- けあげの寸法は20㎝以下
- 踏面の寸法は24㎝以上
- 踊り場の高さは4m以内
以上の寸法に該当します。もし課題発表時点で小学校や中学校になったときはその際に更新するので、一旦は③でいいと思います。
利用者の階段はさらに考慮すべき法令があり、そちらの方がより厳しくなります。それが『移動等円滑化誘導基準』です。
不特定多数の利用者や高齢者・障がい者に配慮した設計となるのがほとんどのため厳しくなるのは当然のことともいえると思います。
- 階段幅は140㎝以上。ただし、手すりが設けられた場合は、手すりの幅が 10㎝を限度として、ないものとみなすことができる。
- けあげの寸法は16㎝以下
- 踏面の寸法は30㎝以上
以上から必要な条件が出揃いました。
次では実際どのように描くか計算と合わせて解説していきます。
階段の計算のしかた
利用者階段 7mスパン
まず利用者の標準型と呼ばれる7000mmx3500mm 階高4mを見ていきましょう
短手方向
短手方向(階段幅)は移動等円滑化基準から140cm以上なので折り返し階段の幅は
1400㎜ x 2 = 2800㎜以上必要です。
さらに防火上3枚のRC壁でつくられた構造と仮定し、壁厚を200㎜を加算し
左の壁+内壁+右の壁=200/2+200+200/2 = 400㎜
2800+400=3200㎜ → 描きやすく500㎜単位の繰り上げし、3500㎜以上で描きます。
(描きにくいときは4000㎜も可)
長手方向
長手方向(階段直線距離)はまずは①段数を求めます。
単純折り返し階段(1回転/フロア)としたときの階高とけあげ寸法から導きます。けあげは移動等円滑化基準から16cm以下です。
階高4000㎜ ÷ けあげ160㎜ = 25段 → 奇数だと描きづらいので偶数に繰り上げ 26段(片側13段)必要となります。
次に②踏面の面積を求めます。
踏面は移動等円滑化基準から30cm以上です。 階段の段数と踏面数は -1 の関係 にあるので-1します。
(片側13段-1) × 踏面300㎜ = 3600㎜以上必要となります。
最後に③踊り場、壁厚、踏面面積のすべてを合計します。
図を見ればわかりますが階段の直線距離は踊り場、壁厚、踏面面積の合計です。
踊り場は階段幅と同じく1400㎜以上で両サイドにあるので
1400㎜ x 2 = 2800㎜以上
壁は200㎜で仮定し、両サイドにあるので
200㎜/2 x 2 = 200㎜
合計すると 3600+2800+200=6600㎜以上必要なことがわかります。
→ 柱は1m単位で計画することが一般的なので、1m単位で繰り上げ 7m となります。
7mとしたことで0.4m余裕ができたため、普段は踊り場を1400㎜→1600㎜+壁厚100=1700㎜とするのが標準型の由来です。
以上から7mx3.5m 階高4mの階段が完成しました。
利用者階段 6mスパン
実際の試験は7mスパンだけで計画することはありません。
計算方法は7mスパンと同じですが6mスパンで折り返し片側13段を描くと6600㎜必要で、踊り場か踏面の基準を満たせず法規アウトで即失格になってしまいます。
6mスパンの一般的な描き方では廻り階段を採用します
長手方向
まず最初は階段の長手方向の段数を決めます。段数は上記の方法と同じなので26段します。
6m方向の計画可能段数は {6000 – (1400㎜x2) – (200㎜/2×2)} / 300㎜ =10段 → 計画上片側9段とします。
・横方向に9段、縦方向に4段で計画します。
踏面の距離は(片側9段-1) × 踏面300㎜ = 2400㎜以上必要となり
踊り場は (6000 – 2400 – 200 ) /2 = 1700㎜ になります。
図は1750、2500、1750となっていますが、1800、2400、1800としても問題ありません。
(ただし図面で50㎜を詳細に表現はできないので、計画の要点などで説明を求められた場合は説明できるようにしておきましょう!!)
短手方向
階段の短手方向は残りの4段で計画します。
踏面の距離は(片側4段-1) × 踏面300㎜ = 900㎜以上必要で
踊り場は 1400x2 = 2800㎜ 以上必要で
壁厚は合計で200/2 x2 = 200㎜
900+2800+200 = 3900㎜以上必要 1m単位で繰り上げ4000㎜としても問題ないでしょう!
一般的には6m×4.5mとし、踊り場の寸法を長手も短手も同じになるように作図します。
管理者用階段
次に管理者用の階段ですが、利用者用階段と異なる点はバリアフリー法の移動等円滑化基準に則る必要がないことで、利用者用階段より少し小さくなり1スパン内で階段とEVを一緒に計画できることで設計の幅が増えます。
管理者用階段も利用者用階段と同じ大きさにしてもよいですがほとんどの人が区別します。
短手方向
短手方向はまず階段幅の算出をおこないます。
建築基準法施行令に準拠するので階段幅は1200㎜以上です。折り返しなので1200x2=2400㎜以上
また壁厚は 200/2 +200 + 200/2 =400㎜ を考慮し、
2400+400 = 2800㎜以上 → 3000㎜で計画
長手方向
長手方向も利用者階段と同じ算出過程で建築基準法施行令に準拠し、
- けあげは200㎜以下
- 踏面240㎜以上
- 踊り場(階段幅)1200㎜以上
階高4mの場合 4000㎜ / 200㎜ =20段 →片側10段必要
(10段ー1) x 240㎜ =2160㎜
2160+1200×2 +200 =4760㎜ → 5000㎜で計画
補足
ほかにも階段の種類には
- 階高4.5m~6m
- 柱スパン8m~10m
- 階段の回転が1.5回転や2回転あるいはそれ以上
- 正方形の廻り階段
など様々あり挙げればキリがありません!!
もしも試験本番でイレギュラーなタイプにしなければいけない場合でも今まで紹介した計算方法で確かめられれば、法規でNGになることはありません。
本番は階段を細かく計算している時間はないので頭の片隅に守らなくてはいけない寸法だけでも覚えましょう。
階段の描き方
最後に今までみてきた利用者用階段と管理用階段の一般的かつ描きやすい手順をお伝えしていきたいと思います。
利用者階段 7mスパン
利用者階段で7mスパン階高4mの最もスタンダードで覚えやすいと思います。手順は以下の3つで
- 柱芯から1700㎜、3500㎜のところに3本線を引く
- 引いた線の間を2分割する線を引く
- 残った隙間を3分割するように線を引く
以上の簡単な手順できれいな階段を描けます。
利用者階段 6mスパン
利用者階段の6mスパン階高4mは廻り階段なので、先に□2500x1000のRCの階段吹き抜け部分を描いてから、以下の手順を行います 。
たて線
- 柱芯から1750㎜、3000㎜のところに3本線を引く
- 引いた線の間を2分割する線を引く
- 残った隙間を2分割するように線を引く
よこ線
- 柱芯から1750㎜→1000㎜の順で2本線を引く
- 残った隙間を3分割するように線を引く
以上手順で少し複雑ですが6×4.5の廻り階段を描けます!!
管理用階段
管理用階段 階高4mは、先にRC壁を描いて、以下の手順を行います
- 階段中央のRC壁を描き
- 壁の両端部垂直の線を引き、できた隙間を3分割にする線を引く
- 残った隙間を3分割するように線を引く
以上で基本となる3つのタイプの製図の仕方について紹介しました。
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製図試験の必要な事項は以下の記事でも紹介しています。
製図試験当日の流れ
製図試験で絶対に落としてはいけない法規については
製図試験に必須道具については
予備校ごとの製図試験のリアルについては
製図試験の計画の要点については
まとめ
今回の記事では一級建築士(または二級建築士でも使うのかな)に必要な階段の寸法についてと階段の描き方について解説してきました。
なお、今回の記事では全てを網羅的に紹介したのではなく、基礎・基本や伝えたいことのみに厳選しました。質問事項がありましたら問合せフォームまでご連絡ください!
以上TOMでした!!
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