こんにちは、TOMです!!
さて一級建築士の製図試験も近くなり皆さん焦っている頃であると思います。
私自身も受験した製図試験の一ヶ月前は、二回行われる資格学校の模試でもランクⅣを叩き出し、6.5時間の試験時間内に終わることなどなかったので本当に今年は無理であろうと何度も思いました。
しかし諦めるのはまだ早いです、普段の講義や模試でいい結果がでなくとも、本番の一回でランクⅠの図面を描き上げることができるのであれば結果は一緒なので、かくいう私がそうであったので最後まで諦めず図面を描き続けましょう!!
さて今回は製図試験で必ず書かなくてはならない「計画の要点について」まとめていきたいと思います。
製図試験の影に隠れてあまりスポットを当てられない分野で力を入れてやるという人も少ないと思います。私も製図の講座を受けていた中で私も含め計画の要点に力を入れる人はかなり少ない印象がありました。やはり使える勉強時間は製図やエスキスに時間を割きたいと思ってしまうのは仕方のないことですが計画の要点をおろそかにしては無論、合格などありえません。
短い勉強時間の中で効率よく計画の要点を学べるように今回まとめていきますので、受験生の皆さんはぜひ活用してみて下さい。
計画の要点の勉強は最低限でおさめたいな
計画の要点の勉強法
計画の要点の勉強法で予備校で習ったことは『理由と結果』を明記することです。
例えばアプローチ計画についてを問われた場合は
理由:歩行者からの視認性を考慮し、利用しやすくなるように
結果:人通りの多いの○○側道路に面してアプローチを計画した (○○には方角を記入)
を意識して解答を作ります。すべての問いに対してこの『理由と結果』を使うだけで誰でもそれなりにまとまった解答を作ることができ、最低減採点者に解答の意図が伝わると解答を作れると思います。
つぎにその解答の中のその『理由』を如何に導き出せるかが一番の課題になります。
予備校では基本的には丸暗記するように教えられます。たしかにその方が確実ですし教える方も単純で『覚えて下さい』というだけで楽です。
初受験の人にとっては製図することも含めると、計画の要点の『理由』をひとつひとつ覚えることはそもそも3か月で覚えられるような物量ではありませんが、覚えなくては合格はありえませんから必ず勉強しなければなりません。
要点の「キーワードだけ覚えること」です。
そしてそのキーワードを適当な副詞や接続詞で繋げできる限り覚える量、勉強時間を減らして、その分製図の練習やエスキスの練習に充てることを意識しながら勉強して下さい。
例えば問題で
これは2020年の問題ですが、「個室、住みやすさ」「介護しやすさ」に着目し、
【キーワード】
- 静けさ、プライバシー
- 間口を広く
- バリアフリー
- 動線しやすさ
のように自分の中で引き出しを多く持っておき、自分のエスキスプランの中で最も近いもの・似ているものを選択し、見る人(試験採点者)にとってそれらしいことが書いてあれば十分かと思います。解答例としては
個室は「入居者の住みやすさ」に配慮し、共用部から離して計画し静かな空間やプライバシーに配慮した
またスタッフの「介護のしやすさ」を考慮し、サービスカウンターから目の届きやすい範囲に居室を配置した
のようにあとから接続詞は適当な用語をテスト中になんとなくで繋げて文章にすることをお勧めします。
要所要所さえ分かってしまえばそこまで難しいことではないように思います!!
計画の要点問題例 -2022年 構造-
2022年では以下のような問いが出題されました。
(3)採用した構造種別と、その構造種別を採用した理由(無柱空間とするに当たり工夫したこと及び耐震性や経済性等について配慮したことも含む。)
(7)貸事務室A又は貸事務室Bのペリメーターゾーンの断面詳細が分かる図やイラスト等(縮尺1/50程度、フリーハンドでもよい。)及び次の①~③のポイント(全て【イメージ図等記入欄】に記入する。
②構造計画上のポイント(柱、梁、床等の主要な構造部材(見えがかりも含む。)の断面寸法を含む。)
以上の計2問で非常にシンプルな問題でした、例年よりも簡単な問題だったと思います。
基本的な部材断面
計画の要点というよりは鉄筋コンクリート造を計画するうえで基本となる断面寸法をおさえておきましょう。
計画と環境に比べ覚えることは少ない印象ですが、数値・寸法もセットで覚える必要があります。
経済的にするのであれば基本サイズより少し小さめの断面にし、安全にするのであれば基本サイズよりも少し大きめの断面にします。
主要な部材の断面寸法(mm)
大梁 500 × 800 梁せいはスパンの1/10~1/12程度
柱 700×700 or 800×800
小梁 300 X600
スラブ t=150~200
外壁 t= 150mm (土圧があるときt=250)
計画の要点 サンプル(構造)
ここからは計画の要点のサンプルを紹介していきます。
しかしながら試験元からは計画の要点の解答例は一切言及がないです、したがってなにが正解なのかは実際のところ誰にもわかりません。
過去の合格者の解答例を参考に作成していますが、鵜呑みにはせず自分で考えることも決して忘れないでください。
本ブログは計画の要点の解答については一切責任を負いかねますのでご了承ください。
1.建築物の構造種別・架構形式・スパン割りについて考慮したこと
構造種別
- 構造種別は、建物の規模・用途を勘案し、耐火性、耐久性、遮音性に優れた鉄筋コンクリート造とした
- 構造種別は、建物に損傷を発生させないために剛性の高い鉄筋コンクリート造とした
架構形式
- 架構形式は、靭性(粘り強さ)能力に優れたラーメン架構を採用した
- 架構形式は、地震力に強いラーメン架構を採用した
スパン割
- スパン割りは、Y方向に9mスパンを採用したため、X方向は7mとすることで、柱1本当たりの負担面積が過大とならないようにした
- スパン割りは、Y方向に8mスパンを採用したため、X方向は7mの均等なスパン割とすることで架構の安定性を考慮した
- スパン割りは、柱一本あたり50~60m2程度の負担面積となるように配慮した
2.構造計画
吹抜け
- 吹抜けの周囲をスラブで拘束することで地震時水平力による剛床性能を損なわないように配慮した
- 整形な形状とし、周囲を大梁小梁で構成し周囲のスラブを安全に支持できるようにした
- 片持ち梁を採用しスラブ周囲の小梁を支持できるように配慮した
- 吹抜けはスパン割に合わせた計画とすることで片持ち梁を用いないシンプルな部材配置となるように配慮した
屋上庭園
- 客土の深さを考慮しスラブのレベルはFL-700mm、スラブ厚さは200とした
- 客土範囲以外の部分は鋼製束によるウッドデッキで計画した
- アスファルト防水を採用し、抑えコンクリート水勾配を考慮し、水上で200mm程度の厚さを確保した
天井
- 天井の高い空間であるため地震時の天井落下防止に配慮し、天井下地材の吊り材と斜材を適切な間隔で配置した
3.部材断面の考え方/配慮したこと
大梁サイズ/プレストレス
- 間口及び奥行きが心々9m以上の無柱空間であることから、Y方向を9mで計画し、大梁の梁せいはスパンの 1/10 を確保することで、梁のたわみやひび割れに配慮した
- 大梁はスパンの1/12となる500×800で計画した
- 大スパンとなる大梁にはたわみひび割れに配慮したプレストレスコンクリート梁を採用した
小梁サイズ
- 小梁は1スパンに2箇所計画することで、床のたわみやひび割れを抑制した
- スラブと接しない外周部の大梁は、梁幅をサイズアップし、ラーメン架構の剛性に配慮した
柱サイズ
- ○階建ての柱軸力、地震時応力に対する構造耐力上安全となるように柱サイズを800×800で計画した
- 経済性に配慮し、屋上から○階建までは柱サイズを700×700、□階建から1階までは柱サイズを800×800で計画した
- プレストレスコンクリート梁を支持する柱は長スパンの応力を安全に伝達できるように柱サイズを800×800で計画した
スラブサイズ
- 多人数利用の積載荷重を考慮し、厚さ200mmで計画した。
壁サイズ
- 土に接する外壁は土圧水圧に十分耐える得るために厚さを250mmで計画した
4.耐力壁で配慮したこと
- ○階~1階まで連層耐震壁とすることで負担する水平力を最下層まで安全に伝達できるように配慮した
- X方向・Y方向 2ヶ所(以上)耐力壁を設けることで平面的にバランスよく配置することで重心と剛心の偏心距離が小さくなるように配慮した
5.基礎構造で配慮したこと
- 基礎形式は最も安定性の高いべた基礎を採用した
- 基礎底面のレベルは砂礫層に確実に到達できるようにGL-○○mとした
- 支持地盤となる砂礫層に貫入できる根入れ深さとする
- 不動沈下に対する信頼性の高い設備ピットとしても扱えるべた基礎を採用
- 安全性経済性に配慮し、表層地盤改良によるべた基礎を採用した
6.基礎梁で配慮したこと
- 基礎梁は○階建ての建物重量を安全に支持するために600×2500で計画した。
- 十分な地中梁せいを確保してGL-○○mとした
7.目標耐震性能
- 大地震後も継続して大きな補修をすることもなく建物を使用できることを目標とし、人命確保に加え十分な機能確保をはかるため、地震力を1.25倍に割り増して構造計算を行う計画とした
構造計画キーワード一覧
ここからはとにかく皆さんの引き出しを多くするためにキーワードを一覧にしています。
断片的な内容であっても十分に使えると思いますので、参考にしてください!!
①構造種別 RC造
- 耐火性
- 耐久性
- 遮音性
②架構計画 ラーメン架構
- 靭性に優れた
- 経済性(純ラーメン架構)
- 自由度の高い
③スパン割り
- 架構の安定性
- 均等スパンになるように
- 柱一本あたりの負担面積を小さく
- 約60m2以下にする
- たわみ、ひび割れが生じないように
④大梁
- サイズ:500×800
- スパンの1/10以上の梁せい
- たわみ、ひび割れが起きないように
⑤小梁
- サイズ:300×600
- 階段、吹抜け周りに小梁を計画
- スラブに過度な荷重がかからないように
⑥スラブ(吹抜け)
- 厚さ:200㎜
- 4辺固定スラブ
- 剛床性能・水平力を安全に柱に伝達
- たわみ、振動の抑制
- 多人数利用の積載荷重を見込む
⑦耐震壁
- 厚さ:200㎜
- 各階同位置・連層耐震壁
- 最下階に安全に水平力を伝達
- バランスよく計画
- 重心からの偏心をおさえる
⑧プレストレスコンクリート梁
- たわみ、ひび割れが生じないように
- 無柱空間、大空間
- 10m~14m
- 取りつく柱サイズは800×800
⑨基礎
べた基礎
- 安定性
- 根入れ深さGL-2500㎜・基礎梁せいを確保するため
- 建物重量を安全に支持
- 設備ピットを兼ねる
- 不同沈下が起きにくい
- 地下水位より浅い計画
- 支持層まで届くように計画
- 地盤改良・表層地盤改良(N値が小さい・埋め戻し土などの場合)
⑩目標耐震性能
- 大地震後も利用できるように
- 大規模な補修を少なくするために
- 人命の安全確保を優先
- 地震力を1.25倍で計算する
⑪ルート計算
ルート1
- 高さ20m以下
- 耐震壁を計画・既定の壁量を確保
- 許容応力度計算法
- 強度型の建物
ルート2
- 高さ31m以下
- 偏心率・剛性率を満たすようにバランスよく
- 許容応力度計算法
- 強度型の建物
ルート3
- 最も安全
- 保有耐力設計
- 靭性型の建物
- 耐震壁のない純ラーメンで計画できる
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製図試験の必要な事項は以下の記事でも紹介しています。
製図試験に必須道具については
予備校ごとの製図試験のリアルについては
製図試験の試験当日については
製図試験に必要本番力・心構えについては
まとめ
いかがだったでしょうか!?これだけ準備できていればどんな問題も対応できそうな気がします。
ただどんな試験も一筋縄ではいきません。どれだけ準備しても試験元はその裏をかいてくるのはもはや定石です。
本番ではいかに動揺せずにほかの受験生よりもうまい言葉を使い自分の設計をプレゼンできるかです。相対試験であるため間違いも間違いではないのです。割り切って使える知識で存分に戦いましょう!!
さぁあと少し!ここが踏ん張りどころ、私も後押ししていきます!!ラストスパートをかけましょう!
以上TOMでした!!
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